知財の広場
今回は「あ〜あれな、」と世間一般で認知されている「ブランド」にまつわる紛争をご紹介いたします。CKでお馴染みカルバンクラインです。本件は言葉とイメージのギャップが注目ポイントです。事件の概要は下の通りです。
• 申立人は、本件商標が引用商標「Calvin Klein」に類似し、出所の混同や不当な利益を生じさせるおそれがあると主張した。
• しかし、審決は、本件商標と引用商標が非類似であり、本件商標の登録出願に社会的相当性を欠くものや公序良俗に反するものがないと判断し、申立てを退けた。
結果:まず結論から。特許庁は、本件商標の登録を維持すると決定しました。本件はカルバンクライン側(カルバンクライントレードマークトラスト)の負けという結果になりました。それでは経緯を以下に紹介します。
異議申立ての対象:登録第6686442号商標「Cailin Kailun」(権利者:李栄集)
異議申立ての理由:申立人(カルバンクライントレードマークトラスト)は、自らの業務に係る被服等に使用している「Calvin Klein」の商標(以下「引用商標」という。)と本件商標とが類似し、出所の混同を生じさせるおそれがあるとして、商標法 第4条第1項第7号 及び同項第15号に基づき、本件商標の登録取り消しを求めました。
商標について:まずは以下の画像をご覧ください。
商標登録第6686442号(J-PlatPatより引用)
第一印象として、カルバンクラインの商標と混同を生じさせるようなものではないですね。
特許庁の判断:特許庁は、引用商標が一定程度知られているとしても、本件商標と引用商標とは類似性の程度が低く、出所の混同を生じさせるおそれがないと判断しました。また、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標に該当すると認めるに足りる具体的事実も見いだせないと判断しました。
感想:論点は、出所の混同と出願の経緯です。詳しくはJ-PlatPatで「登録第6686442号」を検索いただくとして、商標そのものとは別に、商品としてはどうなのか?を見てみたいと思います。
Cailin Kailunのボクサーブリーフ(https://amzn.to/3uqQT3T アマゾンホームページより引用)
CalvinKleinのボクサーパンツ(https://amzn.to/3I08YIX アマゾンホームページより引用)
どうでしょうか?カルバンクライン側がこのまま引き下がるのでしょうか?
補足(おまけ):本件については、他にも面白いことがわかります。例えば、2022年の9月に「Cailin Kailun」商標の登録出願が3件あります。デザインは全て同じものです。出願人は本件商標の権利者に加え、廈門星▲えつ▼軒貿易有限公司、深▲せん▼市賽楽紅国際貿易有限公司、とあります。この2者は「係属-出願-審査中」となっています。
こういうのよくあると思いますが、パクリ系で商標出願する効果ってどの程度のものなんでしょう。もう一つ、WEBで検索すると商品の購入者のXの面白コメントも発見できます。(Googleで検索すると、サクラチェッカーにも引っかかります。評価はご自身でご確認ください)
今後の動向に注目したいですね。