本年はJグランツを利用した電子申請への一本化や通年公募など、従来の制度から大きく変わっています。そこで、刷新された「ものづくり補助金」のポイントを、公募要領を読み解きながら解説します。
【従来からの変更点】
・通年公募
・電子申請システム(Jグランツ)による申請
・減点措置
の3点について、変更によるメリットや注意点を中心に、詳しく見ていきましょう。
【通年公募】
従来は「1〜2回/年」の実施でしたが、令和2年度実施分からは「4回/年(3ヶ月おき)」の公募となり申請機会が増えました。したがって、余裕を持って申請に臨むことができます。
(注意点)回数が増えたからと言って採択企業数が増えるわけではありません。
3月10日の告知時点では2回目以降の公募日程は明確にされていませんが、中小企業庁のチラシには「…令和2年度内には令和2年5月(2次)、8月(3次)、11月(4次)、令和3年2月(5次)に締切りを設け…」との記載があります。
※5次まで記載がありますが、令和3年2月は実質的に令和3年度実施分ですので、年4回ですね。
※同時に告知された「持続化補助金」が、3月31日、6月5日、10月2日、2月5日となっていますが「ものづくり補助金」は1回多いようです。
【電子申請システム(Jグランツ)】
平成31/令和元年度の二次公募から「ものづくり補助金」の申請は電子申請(専用サイト)のみに変更されていましたが、令和2年度以降は「Jグランツ」を利用した申請となります。申請だけを考えるとあまり大きなメリットはありませんが、「Jグランツ」では、採択後の申請も同システムで行うことができ(例えば交付申請や実績報告等)、申請時の手続き簡略化というよりも、申請後の手続きの簡略化が大きなメリットと言えます。
※従来は、交付決定後は担当者とメールで書類のやり取りを行っていたので、これは大きいと思います。(実際に使ってみないとわかりませんが…)
(注意点)「Jグランツ」の利用には「GビズID」が必要となります。取得には少なくとも2週間程度はかかりますので、初回の申請時には注意が必要です。
【減点措置】
これまで公募要領には「加点項目」についての記載はありましたが、今回始めて「減点項目」が登場しました。これによって、初めて補助金申請をする企業は採択のチャンスが広がります。
(注意点)逆に、過去(3年以内)に交付決定を受けた企業は不利となります。
以上、3つのポイントについて解説しましたが、その他にも災害加点(コロナウィルス)の追加や賃上げが必須要件になるなど、補助事業の実施に大きく関わる内容変更もありますので、これら細かなポイントについては、別に取り上げます。
【まとめ】
「採択を目指す」という観点では、従来から大きく異なることはありません。採択への近道は従来どおりしっかりと申請書を準備する、ことです。令和2年度からは申請の機会も増えますので、より完成度の高い計画を仕上げることがより重要になると思います。
株式会社ブループリント 大谷将良