顧客との関係づくりがキモになる、ビジネスモデルの解説書
先日「サブスクリプション・マーケティング」という本を読みました。書籍についての感想はさておき、この機会にあらためてサブスクリプションとその周辺のトピックについて考えてみたいと思います。(書評はこちら、購入はこちら)
サブスクリプション・マーケティングで書かれていること
まず、今回取り上げた書籍「サブスクリプション・マーケティング」では『サブスクリプションへの移行に拍車をかける他のトレンドとし』て5つのトレンドが取り上げられています。列挙すると、
シェアリング・エコノミー
スマートデバイス
IoT
デジタル化
資源不足
この5つです。上から3つは例えば、カーシェアリングや月額利用のアプリ、ヘルシオデリ(フリーミアムのモデルですね)などわりとイメージし易いですね。
「デジタル化」はCDから音楽配信への移行を例としています。従来モノであったものがネットワーク経由で利用できるようになった状況を指しています。
「資源不足」はちょっとおもしろい切り口です。循環経済を例として上げていて、具体的にはタイルカーペットの製造会社インターフェイスの循環システムを取り上げています。
先に「感想はさておき…」と前置きしたのですが、上の関連分野の雑多感からもわかるように、本書の書きくちはかなり網羅的で、「整理して書こう!」みたいな意識は極めて薄いような気がします。そのせいかちょっと読みにくい本になってます。(と読書感想はこれぐらいに、笑)
要するにサブスクリプション・モデルがもてはやされるようになった背景には、デジタル技術が大なり小なり影響している、と考えてよいかと思います。昔から新聞やNHKの受信料(笑)やら「定額制」のサービスはあったわけですが、ここのきてデジタル技術を駆使することで、その裾野が広がったというわけです。
さて、このサブスクリプション・モデルですが、そもそもはSaaSに代表されるように、ソフトウェアベンダーのパッケージ販売から月額課金型クラウド・サービスへの移行に対して使われていたようです。狭義のサブスクリプションはこれらITサービスで用いられる収益モデルということですね。テックターゲットでは下のように定義されています。
A subscription-based pricing model is a payment structure that allows a customer or organization to purchase or subscribe to a vendor's IT services for a specific period of time for a set price. Subscribers typically commit to the services on a monthly or annual basis.(引用先)
サブスクリプション・モデルの利点はそのシンプルな収益モデルにあります。少し乱暴かもしれませんが、重要業績管理指標(KPI)として解約率(チャーンレート)と顧客生涯価値(LTV)だけを管理しておけば良い的な…
私は中小企業診断士ですので、経営診断において財務分析をする際は、まずその企業の収益性に着目します。企業においては事業の成長性や継続性が最も重要なポイントだからです。(企業はゴーイングコンサーンですので)
次回は引き続き、シェアリング・サービスを例に「この2つの指標はどれだけ有効か?」ということを考えてみたいと思います。
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